宮島の原生林で育つ、豊かな蜜|はつはな果蜂園 訪問記
共有

広島市内にあるはつはな果蜂園の養蜂場と作業中の松原さん
2026年7月23日。真夏の広島。
私たちそのままハニーチームは、宮島や江田島、広島市の山間部などで養蜂を営む「はつはな果蜂園」を訪ねました。
そのままハニーが養蜂家を訪ねるのは、ハチミツが生まれる環境を、自分たちの肌で感じるため。
どのような土地で、どのような人がミツバチと向き合っているのか。
味や品質だけでなく、その背景まで納得できるハチミツを届けたい。そんな思いから続ている、養蜂パートナーとの大切な時間です。
海を渡り、宮島の奥へ
最初に向かったのは、宮島にある養蜂場。
フェリーで島へ渡ると、はつはな果蜂園を営む松原秀樹さんご夫妻が迎えてくださいました。
海沿いの道を進み、にぎやかな観光地から離れて島の南西側へ。たどり着いたのは、深い緑に囲まれた高台の農地です。
木々の向こうには、宮島で最も高い標高535メートルの弥山がのぞきます。聞こえるのは、葉が揺れる音とミツバチの羽音。宮島に残る豊かな自然を、すぐそばに感じられる静かな場所でした。

宮島にある養蜂場の風景
農のそばに、ミツバチがいる
宮島の養蜂場の周囲には、野菜を育てる畑があります。
花を訪ねて花粉を運ぶミツバチは、ハチミツをつくるだけではなく、農作物の実りを支える花粉媒介者でもあります。なかでもキュウリやカボチャ、スイカなどのウリ科作物は、昆虫による受粉との関係が深い作物です。実際に、スイカなどの栽培ではミツバチによる受粉が広く利用されています。
一方、採種や品種管理を行う畑では、意図しない花粉の移動を避けるため、作物を網で囲って隔離することもあるそうです。
農業の実りを助けることもあれば、人が守りたい品種との間で距離を取ることもある。ミツバチと農業の関係は、私たちが想像していた以上に、繊細で奥深いものでした。
蜜源ごとに生まれる味
松原さんによると、はつはな果蜂園では、平年で年間およそ2トンものハチミツを生産しています。
巣箱が置かれているのは「宮島」だけではなく、柑橘栽培が盛んな「江田島」、廿日市市の「大野」、広島市「湯来町」の山間部など、広島県内の複数の土地に養蜂場を構えています。
蜜源となる花や木々、採蜜する季節が変われば、ハチミツの色も香りも味わいも変わります。
「宮島」では、原生林に育つ樹木の花々から生まれる百花蜜。
「江田島」では、みかんをはじめとする柑橘の花の蜜。
「湯来町」では、高原の草花やニセアカシア、クマノミズキなどから生まれる山の蜜。
同じ養蜂家が育てたハチミツであっても、それぞれに異なる土地の輪郭が表れます。
採れたハチミツの多くは、広島県内のショップやレストランへ。
地元から多くの声がかかるなか、そのままハニーにも宮島の百花蜜を一斗缶分、特別に分けていただきました。

はつはな果蜂園の松原さんご夫婦
東京のIT企業から、養蜂の道へ
はつはな果蜂園を営む松原秀樹さんは、かつて東京のIT企業で働いていました。
食の安全や農業への関心、故郷・広島への思いが重なり、39歳頃にご家族と広島へ移住。2015年には、はつはな果蜂園を開業しました。
会社員時代から農家の手伝いや社会人向けの農業学校で学び、そこで開かれていた養蜂講座をきっかけに、養蜂の世界へ。
偶然のように始まった出会いは、やがて人生の軸になっていきました。
その歩みの傍らには、新天地への移住も養蜂への挑戦もともに受け止め、支えてきた奥さまの存在があります。
一つひとつ経験を積み上げ、現在では、50群規模のセイヨウミツバチを育て、養蜂と柑橘栽培を両立する松原さん。
前職で培った経験も生かし、巣箱の温度や湿度を遠隔で確認する「Bee Sensing」の開発にも携わっています。
巣箱を置くことは、人とつながること
物腰が柔らかく、穏やかな笑顔が印象的な松原さん。
けれど、現在の広域養蜂が自然にできあがったわけではありません。
松原さんは、自分の足で広島県内を巡り、ミツバチが健康に暮らせる場所を探します。
花や木が十分にあるか。巣箱を安全に管理できるか。養蜂に適した場所を見つけたら、そこで農業を営む方に声をかけ、巣箱を置くための相談を始めます。
地域のマルシェやイベント、農業者の集まりにも足を運び、顔を合わせ、話を聞き、少しずつ信頼を築いていく。そうした地道なつながりの積み重ねによって、宮島、江田島、大野、湯来町へと養蜂の場所が広がってきました。
美味しいハチミツを安定してつくるために必要なのは、養蜂の技術だけではありません。
ミツバチが飛び回れる土地と、その土地を守る人たちとの関係もまた、欠かすことのできない養蜂の一部なのです。
ゼロから始めた養蜂は、今では地域の100人を超える農業者や事業者との関係へと広がっています。

巣箱の確認作業を見学しているそのままハニースタッフ
自然が豊かであるということ
宮島を後にし、私たちは広島市佐伯区湯来町へ向かいました。
次の目的地は、久保アグリファーム(サゴタニ牧場)の一角にある砂谷養蜂場です。
標高400メートル近く。都市としての広島からは想像できないほど、広々とした牧草地と山々が広がっています。春から夏には赤クローバーやニセアカシア、クマノミズキなどが咲き、秋には高原の草花が蜜源になります。
「ミツバチにとって、これほどの場所はないのでは」
そう思うほど豊かな環境でした。
一方、養蜂場の周囲には電気柵が張られています。
鹿やイノシシ、そして熊。作物や巣箱を野生動物から守るため、自然に近い養蜂場ほど厳重な管理が必要になります。この場所では、3年に一度ほど、巣箱が倒されるなど熊が訪れた痕跡が見つかるそうです。
自然の恵みに近づくほど、自然の厳しさにも近づいていく。
豊かな景色の裏側にある、養蜂のもうひとつの現実を知りました。
宮島の森から届いた、百花蜜
宮島の原生林に咲く、さまざまな樹木の花。
そこへミツバチが飛び、一滴ずつ集めた蜜が、宮島の百花蜜になります。
土地を探し、ミツバチを育て、地域の人と関係を結び、病気や害獣から巣箱を守る。江田島では柑橘を育てながら、季節に合わせて離れた養蜂場を巡り、多くの蜂群を支え続ける。
その穏やかな佇まいの奥には、自然に寄り添いながら学び続ける、松原さんの確かな仕事がありました。
ひとさじの向こう側には、松原さんご夫妻と、広島の土地に暮らす多くの人たちの営みがあります。
はつはな果蜂園が育てた宮島の百花蜜は、そのままハニーのギフト商品などでお楽しみいただけます。
宮島の森と、ミツバチと、人がつないだ味。
その静かで芯のある豊かさとともに、ゆっくり味わっていただけたら嬉しく思います。

ご購入はこちら
Stick Type 20本 [GIFT]
https://sonomama-honey.net/products/stick-20
Text & Edit
そのままハニーチーム(運営:株式会社アンウォール)
Special Thanks
はつはな果蜂園/松原秀樹さんご夫妻
https://hatsuhana888.com/
Photo Gallery|訪問の風景



